@rabirgoです。
新しいスキルを手に入れて、積ん読解消して、ブログ1本書いてしまおうという
一日一学です。
今日は「メイド・イン・ジャパン」です。
製品の「メイド・イン・ジャパン」は進化したけど、日本人の英語は進化してないという悲しいお話。初版は 1989年なので最近の学生には当てはまらないかもしれませんが、身につまされます。
母のコートと私のラジオ
著者の幼少期についてエピソードが語られてますので紹介してみます。
1946 年生まれ、終戦の次の年に生まれてらっしゃいます。
戦後のメイド・イン・ジャパン
著者のお母さんは末っ子の双子だったとのことで、子供の頃は家族が集まっての大きなパーティをされてたそうです。
ある誕生パーティで、誕生日プレゼントとしてお互いの旦那さんからとても上等に見える「黄褐色のキャラメル・コート」が手渡されて盛り上がるなか、悪戯上手ないとこの子供が「メイド・イン・ジャパンだって」と大きな声で言うと、大人の双子が顔を見合わせて泣き出したそう。
1946 年生まれの著者の幼少期ということは、日本は戦後復興の時期です。
メイド・イン・ジャパンといえば「笑うほど安価で見掛け倒しの品」と言う意味で小・中学生の流行語で楽しいジョークだったとか。
お母さんは大人が泣いてしまうくらいの恥ずかしさを感じたんですね。
ただ、今は世の中が変わって「メイド・イン・ジャパン」は一段と喜ぶだけになったと言うことを「日本人の英語」に対比して表現されてます。
日本人の製品は良くなったのに、日本人の英語は良くなってない、ということですねぇ。。
日本製の「ロケット・ラジオ」マニュアルの英文
さらに子供の頃に夢中になった「ロケット・ラジオ」という組み立て式のラジオ?のマニュアルで、著者の記憶によるとこういう英文があり違和感を覚えたそうです。
Drag out an antenna, pinching it between one’s finger.
ぱっと見、私からするとさほど違和感ない英文のように思えますが「なかなか日本語にならない」という評。言われて仔細にみればなるほど、です(後述)。
敢えて訳してみれば「あるアンテナを人の指一本でつまみながら、引きずり出して下さい」だそうで、明らかに日本語で考えながら作ったという印象が非常に強いとのことです。
「アンテナを指でつまんで引き延ばして下さい」が言いたいことだとして著者が英文にするとすれば
Grasping the antenna with the fingers, pull it out.
もう少し英語らしくするなら
Pull out the antenna.
とのこと。
2本目はそれだけで十分に伝わる、ということだと思うので、
比較しやすい1本目との比較と私の理解を書き出します。
Drag out + pinch と Grasp + pull out
アンテナという文脈込みで日本語に訳すると「引っ張り出して伸ばす」と「摘んで引き出す」みたいな差でしょうか。
私はあまり違和感を感じないところですが、著者は「引きずり出して」という日本語に訳しています。drag out を調べてみます。
(1) 〈重いものを〉引き出す(⇒drag 他動詞 2a).
(2) 〈人を〉無理に引っぱり出す (⇒drag 他動詞 2c).
なるほど、drag out には引き出すというよりは引きずるというイメージがあるってことですね。
私はマウスの drag をイメージするのであまり「重いものを引きずる」という感覚はないですが、アメリカ人はそうイメージするようです。
そうなるとマウスの操作で drag を使ってることには違和感は感じないのかななんて思ってしまいますが・・。(重いわけじゃない)
pinching it between one’s finger については、pinch が以下の意味を持つので滑稽に思えるでしょうね。
a〈体の一部を〉(二つのもの,または親指と人さし指で)つねる,つまむ,はさむ.
このコンテキストでは親指と人差し指でつまむことまで pinch に含んでいるので “between” が来ると「??」になりそうです。
an antenna と the antenna
これは無定冠詞と定冠詞。
説明書なので定冠詞でいいって話ですね。
いまこの説明書をみている人の手に持ってるアンテナということは定まってます。
an antenna だとどこかのあるアンテナみたいなイメージになるんじゃないかな。
one’s finger と the fingers
単数 or 複数 の違いと、one’s or the の違い。
著者によると、単数なだけで「人の指一本でつまみながら」という「1本で摘む」という無理なイメージになってしまうみたい。単数と複数が脳内イメージに直結してるんですね。
私の場合は考えないとイメージできません。
one’s と the についてはあまり違いが分からずでした。
one 代名詞 の所有格] 人の,その人の
という意味のようなのでそんなに変じゃないのかなと思うんですが、the が正しいと言ってるのか、置き換えられると言ってるのか分かりません。
あと、pinch が指というコンテキストを含むことは置いといて your fingers でもいいんだろうか?
英語を支える論理:the U.S.A の the はなぜ必要か
このような例を出しながら、著者は英語を支える論理に触れています。
例えば「なぜ the U.S.A と the が必要か」を簡潔に説明できる方は多いのでしょうか。
私はできませんでした。まさに後述の英文法書のイメージで、覚えるしかないと思ってます。
答えは「普通名詞の states があるから」だそうです。
著者によると、日本の英文法書にある「定冠詞は次のような名詞につける・・・特定の国名:the United States of America, the Ntherlands など、ただし、Japan, Canada はつけない」という説明では、誤解を誘うのは当然としています。
The Mississippi River も川の名前だからではなく、普通名詞の river があるから the がつくと。
モノによって違うのではなく、ちゃんと論理があるんだってことですね。
日本人にとっての問題点
著者は日本人の英文のミスを以下のように大別しています。
- 冠詞と数, a, the, 複数, 単数 などの意識の問題
- 前置詞句
- Tenth(時制)
- 関係代名詞
- 受動態(使いすぎ)
- 論理関係、因果関係を表す言葉
まとめ記事は上記に分けてみます。
英語の頭脳環境へ
ところで著者は「日本語が嫌い」と叫んで和英辞典を壁に放り投げて叫んだことがあるそうです。英語の「I hate Japanese」ではなく、日本語で。
これは頭がおかしくなっていたと述懐してますが、このような精神状態を読者にも薦めたいとのこと。それくらい英語の「頭脳環境」に入ってみてほしいそうです。
いつか私も I hate English!! と英語で叫ぶ日が来るのでしょうか。。
さいごに
著者のエピソードを知ったところで、日本に住み着いた動機は気になりますね。
私たちも外国人が書いたり話したりする日本語に違和感は感じますが、まあそんなもんかで終わっちゃいます。
一方で著者は、幼少期に感じた「日本人が書く英語のおかしさ」が原体験になって来日することになって本まで書いてしまったんでしょうか。
気になったので調べてみたところ、フルブライト・プログラム という留学制度でいらっしゃったことしか分かりませんでした。留学で来てみて日本が気に入ったんでしょうかねぇ。
他のネット記事も日本人の英語についてしか見つけられず、著者個人のことについては分かりませんでした。
ちなみに、何か情報がないかなと思って色々検索してたら近影が見つかりました。
去年なので 72歳 かと思いますが、お元気そうですね!
まだ執筆活動もされてるようで、他の本も読んでみたいです。
1回目だったのでちょっと長くなってしまいました。次回からはもう少し絞ります。
次回は「【不定冠詞】鶏を一話食べてしまった」です。
マーク・ピーターセン著「日本人の英語」
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